ドメインとは何か?URL・DNS・IPアドレス・サーバーとの違いを解説

ドメインとは何なのでしょうか
Webサイトを作ろうとすると、かなり早い段階で「ドメインを取得してください」という話が出てきます。.comや.jpなどは毎日のように目にするので、それがWebサイトのアドレスのようなものだということは、多くの人が何となく知っていると思います。
そしてドメインを説明するときによく使われるのが、「インターネット上の住所」という表現です。確かに分かりやすいですし、間違いというわけでもありません。ただ、少し考えると不思議な住所です。普通の住所なら引っ越せば変わります。しかしWebサイトは、置いてあるサーバーを別の会社へ移しても、同じドメインを使い続けることができます。
となると、ドメインとは本当に「住所」なのでしょうか。
今回から「ドメイン丸わかり」というシリーズを始めます。最終的にはDNSの詳しい仕組み、メール、セキュリティ、DNSSEC、ドメイン紛争など、かなり専門的なところまで進む予定ですが、まずは最も基本的なところから始めたいと思います。
そもそもドメインとは何なのでしょうか。
コンピューターは「example.com」で通信しているわけではありません
人間がWebサイトを見るときには、ブラウザーに「example.com」のような文字を入力します。しかしインターネット上のコンピューターが、私たちと同じようにこの名前だけを見て相手を探しているわけではありません。
ネットワーク上ではIPアドレスという情報が使われています。IPv4なら「192.0.2.1」のような数字の並びで、IPv6になるとさらに長くなります。これを人間がWebサイトごとに記憶して使うことも理屈の上では考えられますが、現実にはかなり大変です。電話をかけるたびに、電話帳を使わず全員の電話番号を暗記するようなものです。
補足:IPv4とIPv6とは?
IPv4とIPv6は、どちらもインターネット上の機器を識別するために使われるIPアドレスの方式です。IPv4は「192.0.2.1」のように数字を4つ並べた形式で、長く使われてきました。
一方のIPv6は、インターネットにつながる機器の増加に対応するため、より多くのIPアドレスを扱えるようにした方式です。
この段階では、「コンピューターが通信相手を識別するための番号に、IPv4とIPv6という2種類がある」くらいに考えておけば十分です。
しかも困るのは、覚えにくいことだけではありません。
Webサイトを置くサーバーを変更すれば、接続先となるIPアドレスが変わることもあります。もし利用者がIPアドレスそのものを覚えていたら、そのたびに新しい番号を知らせなければなりません。そこで人間が覚えやすい名前を使い、その名前とネットワーク上の情報を結び付ける仕組みが必要になります。
それがDNS、Domain Name Systemです。
DNSはインターネットの巨大な電話帳……なのですが
DNSはよく「インターネットの電話帳」に例えられます。
例えばブラウザーに「example.com」と入力すると、その名前に対応する接続先をDNSを使って調べ、Webサイトが置かれているサーバーへアクセスします。人間は覚えやすい名前を使い、コンピューター側では通信に必要な情報へ変換しているわけです。
ただ、DNSを単純な電話帳だと思ってしまうと、後々また少し話が合わなくなってきます。
電話帳なら「名前→電話番号」という対応だけですが、DNSにはWebサイトの接続先以外にも様々な情報を登録できます。例えば独自ドメインのメールを、どこのメールサーバーで受け取るのか、といった情報もDNSに記録します。
この辺りはいずれDNS編やメール編で詳しく扱いますが、ここでは「ドメイン名を使って、インターネット上の様々なサービスへつなげるための仕組みがDNS」と考えておけばよいでしょう。
ドメインとWebサイトは同じものではありません
ここは意外に重要です。
ドメインを取得したからといって、Webサイトが自動的にできるわけではありません。
Webサイトを公開するには、HTMLや画像などのデータを置く場所、一般にはWebサーバーが必要になります。そしてDNSを設定して、自分のドメインをそのサーバーへ向けます。
つまり、ドメインとサーバーは別物なのです。
例えば店舗で考えるなら、建物そのものと店名が別なのに少し似ています。同じ店名のまま店舗を移転することはできます。ドメインの場合も、Webサイトを置くサーバーを交換して、ドメイン側の設定を新しいサーバーへ変更すれば、利用者には同じ名前でアクセスしてもらえます。
もちろん現実の店舗名とドメインには制度上かなり違うところがあるので、完全な例えではありません。ただ「場所と名前は別」という点では分かりやすいと思います。
ではURLとは何が違うのでしょうか
ドメインと混同されやすい言葉にURLがあります。
例えば、
https://www.example.com/products/item1
というURLがあったとします。
この全部がドメインというわけではありません。
「https」はどの方式でアクセスするかを表し、「www.example.com」がホスト名、その後ろの「/products/item1」は、そのWebサイトの中のどこを見たいのかを表しています。
つまりURLは、Web上の特定の場所を指定するための、より完全な情報です。その中にドメイン名が含まれています。
普段の会話では「サイトのURLを教えて」と言ったり「ドメインを教えて」と言ったりしても、お互い何となく通じてしまうので問題になりにくいでしょう。しかし仕組みを理解しようとするなら、この二つは分けて考えた方が分かりやすくなります。
独自ドメインを取得すると何を手に入れるのでしょうか
ではドメインを取得するとは、結局何をしているのでしょう。
「ドメインを買う」という言い方もよくしますが、パソコンや土地のように物体を買って永久所有する感覚とは少し違います。登録契約の条件に従って、一定期間そのドメイン名を登録し、使える状態を維持します。
そのため通常は更新が必要です。更新をやめれば、最終的にはそのドメインを使えなくなり、条件によっては別の人が登録できるようになります。
そう考えると、私たちが手に入れているのは「世界のインターネット上で、この名前を自分のWebサイトやメールなどに使える状態」とでも言えばよいのかもしれません。
実体はありません。
それでも、その名前を何年も使ってWebサイトを公開し、メールを送り、名刺に印刷し、検索エンジンからリンクされ、他のWebサイトから紹介されるようになると、単なる文字列だったものに少しずつ価値が蓄積していきます。
なぜ無料サービスがある時代に独自ドメインを持つのでしょうか
ここで一つ疑問が出てきます。
現在は自分でドメインを取得しなくても、SNS、ブログサービス、動画サイト、ネットショップサービスなどを使えば情報を発信できます。しかも無料で始められるものも多くあります。では独自ドメインなど必要ないのでしょうか。
もちろん、必要のない人もいます。SNSだけで目的を果たせるなら、無理にドメインを取る理由はありません。Webサイトを自分で管理するより、既存サービスを利用した方がずっと簡単な場合も多いでしょう。
ただ、サービス上のアカウント名と独自ドメインには大きな違いがあります。
サービス上のURLは、そのサービスの中にあります。サービスを変えればURLも変わりますし、サービスそのものが終了すれば、その場所も失われます。
一方、独自ドメインなら、中身を置くサービスやサーバーを変更しても、同じドメインを使い続けることができます。
WebサイトをA社からB社へ移す。ブログシステムを変更する。メールサービスを変更する。それでも表から見えるドメイン名はそのままにできます。
ここまで考えると、最初の「インターネット上の住所」という説明が少し違って見えてきます。
ドメインは「住所」より「名前」に近いのかもしれません
住所は場所に付いています。
しかしドメインは、場所を変更しても持っていけます。
そう考えると、ドメインを「インターネット上の住所」と考えるより、「インターネット上で使い続ける名前」と考えた方がしっくりくるところがあります。
もちろん技術的にはDNSによってネットワーク上の接続先などを探すために使われるので、住所という説明にも意味があります。ただ、その名前が特定のサーバーそのものを意味しているわけではありません。
名前と、その名前が現在どこを指しているのかは別なのです。
この違いが分かると、ドメインについてこの先出てくる様々な話も理解しやすくなります。
では「example.com」の「com」と、「example.jp」の「jp」は何なのでしょうか。なぜ.comは誰でも取れるのに、co.jpには登録資格があるのでしょう。そして最近は、.shop、.app、.xyzなど、昔なら見たこともなかった末尾が大量に存在します。
次回は、その「ピリオドより右側」に進んでみます。