インターネットの何割をAIが書いている?Pewが49万ページを分析

インターネットのどのくらいを、すでにAIが書いているのか

インターネットを見ていると、最近どうも似たような文章が増えた、と感じることがある。もちろん、それだけでAIが書いたとは言えない。人間の文章だって似るし、SEOを意識すれば構成も似てくる。

だが、「では実際に、今のインターネットのどのくらいをAIが書いているのだろう?」という疑問は当然出てくる。

Pew Research Centerが2026年8月20日に、このかなり素朴だが答えるのが難しい問題について調査結果を発表した。2021年1月から2026年7月までの英語Webページ約49万件を分析したところ、2026年7月のWebページの10%に、AIによって書かれた、あるいは大幅にAIで編集されたと考えられる兆候が見つかったという。

10%。思ったより少ないと感じるかもしれない。

ただ、ここには少しからくりがある。インターネットには1990年代や2000年代、もちろん生成AIなど存在しなかった時代に作られ、そのまま残っているページが大量にある。そこでChatGPTが公開された2022年11月30日以降に作られたページだけを調べると、数字は一気に35%まで上がる。

つまり、ざっくり言えば最近作られたWebページでは、3ページに1ページ程度にAIの痕跡があることになる。

Pewは49万ページをどう調べたのか

今回使われたのはCommon Crawlという巨大なWebアーカイブだ。Common Crawlは公開されているWebを定期的に巡回し、その内容を保存している。

Pewは2021年1月から2026年7月までに行われた49回のクロールから、それぞれ英語ページを1万件ずつ無作為抽出した。合計49万ページである。

そして本文をPangramが開発したオープンウェイトのAI検出モデル「editlens_Llama-3.2-3B」に入力した。このモデルは文章に対し0から1までの値を返し、0なら人間による文章、1ならAI生成の可能性が極めて高い文章として扱う。

今回Pewは0.2以上を「意味のあるAI執筆・編集の兆候あり」とした。

ここはかなり重要である。

つまり「AIが書いたページ」と言っても、ChatGPTに「この記事を書いて」と頼んで全文をそのまま掲載したページだけを数えているわけではない。人間が原稿を書いた後にAIで文章を整えたものも、AIの関与が十分に大きければ含まれる。

「35%がAI生成」と言い切ってはいけない

数字として最も目を引くのは35%だが、これを「現在公開される記事の35%はAIが書いている」と言い換えるのは少し危ない。

そもそもWebページの公開日をHTMLから取得できたのは、各サンプルの10〜15%程度だった。Pew自身、この公開日を取得できるページ群はWeb全体から見てランダムな集合ではないと注意している。

さらにAI検出器は絶対的なものではない。

Pewはオープン版Pangramとは別に、6万2370ページについて商用版Pangram 3.3でも検証した。両モデルの判定は96%で一致しているが、完全ではない。特にChatGPT以前の2021〜2022年のページでもオープン版モデルは1%程度をAI的と判定しており、これはほぼ確実に誤検出を含んでいる。

したがって、あるブログの記事をこの検出器に入れて「AI判定だった。だから作者はAIを使った」と断定するような使い方とは、今回の研究は全く違う。個別判定には誤りがあっても、同じ方法で49万ページを時系列に測れば、「AI的な文章がどの程度増えているか」という全体傾向を見ることはできる、という考え方である。

商業WebではAI利用が急速に広がっている

もう一つ面白いのがドメインごとの差だ。

ドメイン 2026年のAI関与の兆候
.com 約10%
.org 4.6%
.edu 約1%
.gov 約1%

.comは.eduや.govの約10倍になる。

これはある意味では分かりやすい。企業サイト、マーケティング記事、商品説明、SEOコンテンツなどは、文章を大量かつ安価に作ることの経済的メリットが大きい。一方、大学や政府機関では文書作成のプロセスや責任の所在が比較的厳格で、生成AIを導入する速度が遅い可能性がある。

もちろん、.comだから商業コンテンツ、.orgだから非営利というように単純には分類できない。それでも差がこれほど大きいこと自体は興味深い。

別の研究でも「3分の1前後」という数字が出ている

Pewだけがこのような数字を出しているわけではない。

Pewが比較対象として挙げているDolezalらの2026年の研究でも、Internet Archiveを使って新しく公開されたWebサイトを分析した結果、35%にAI生成またはAI支援文章が含まれていたという。方法は異なるが、今回のPewの35%という値とほぼ同じところに着地している。

一方、Ahrefsが2025年に90万ページを独自のAI検出器で調べた調査では、完全なAI文章は2.5%だったものの、人間とAIの混合と判定されたページまで含めると74%にAIの痕跡が見つかったとしている。

数字は大きく違う。

だがこれは矛盾というより、「AI生成を何と定義するか」で数字が大幅に変わることを示しているのだと思う。AIに全文を書かせたものだけなのか、下書きに使ったものも含めるのか、一部の文章を直しただけでもAI利用とするのか。現在の文章制作では、この境界自体がかなり曖昧になっている。

本当に面白いのは「誰が書いたか」ではない

さて、この調査を読んでいて気になるのは、AI文章が35%になったこと自体よりも、その先である。

大規模言語モデルは、人間がインターネットに書いてきた膨大な文章を学ぶことで発達してきた。

ところが、そのインターネットを今度はAI自身が書き始めている。

だとすれば、次世代のAIは、人間が書いたインターネットだけではなく、現在のAIが生成した文章を大量に含むインターネットを学習することになる。

もちろんAI企業もこの問題を知らないわけではなく、学習データの選別や合成データの利用など、単純にWebを丸ごと食べさせているわけではない。ただ、それでも検索結果、ニュース、商品説明、ブログ、SNSなど、人間が日常的に接する情報空間そのものにAI生成物が増えていけば、「ネットを読めば人間社会を知ることができる」という関係は少しずつ変わっていくだろう。

「AI文章が悪い」のではなく、情報の作られ方が変わる

ここで誤解したくないのは、AIが書いた文章だから悪い、という話ではない。

人間が書いた低品質の記事はいくらでもあるし、AIを使って丁寧に調査し、人間が検証して仕上げた文章の方が、雑に書かれた人間だけの記事より優れていることも当然ある。

むしろ問題になるのは、情報を作るコストが劇的に下がったことだろう。

人間が1日に3本しか作れなかった記事をAIなら100本作れる、といった状況になれば、質が同じでも情報量の比率そのものが変わる。さらにSEOや広告収益と組み合わされば、読むためではなく検索エンジンやAIに拾わせるためだけの文章を大量生成する経済的インセンティブも生まれる。

検索エンジン側もAIを使ってWebを要約するようになっている。つまり、人間がAIを使って記事を書く。その記事を検索AIが読み、AIが要約し、その要約を人間が読む、という妙な構造がすでに成立しつつある。

では数年後のインターネットはどうなるのか

今回のPewの調査から「Webの未来はAIスロップだらけになる」とまで断定することはできない。35%という数字にもサンプリング上の制約があり、AI検出器にも誤差がある。

ただ、2022年末を境にAI的な文章が明確に増えているという大きな流れについては、かなり説得力がある。

そして恐らく重要なのは、「AIを使ったか、使っていないか」という二択ではなくなることだ。

人間が企画し、AIが調べ、人間が選び、AIが下書きし、人間が検証して書き直す。そうなると、これは人間の記事なのかAIの記事なのか、という問い自体がだんだん意味を失ってくる。

その時に残るのは、誰が責任を持つのか、情報は正しいのか、読む価値があるのか、という昔からある問いなのだと思う。

AIがインターネットを書き始めたことは確かなようだ。では、人間はそこで何を書くのか。

35%という数字以上に、個人的にはこちらの方が気になる。

とはいえ、この記事も概ねAIが書いている。役立つものはそれでいい。

2026年8月22日 12:23 AM   投稿者: M.A.   カテゴリー: AI

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